FIFA ワールドカップ 2026 オーストリアサッカー代表|欧州の強豪、悲願の本大会へ

FIFA ワールドカップ 2026 オーストリアサッカー代表

FIFA ワールドカップ 2026 オーストリアサッカー代表は、2026年北中米ワールドカップに出場するオーストリアの男子サッカー代表チームである。ラルフ・ラングニック監督の下、UEFA欧州予選グループHを6勝1分1敗で首位通過し、1998年フランス大会以来28年ぶり8回目の本大会出場を果たした。本大会ではグループJに振り分けられ、ディフェンディングチャンピオンのアルゼンチン、アルジェリア、ヨルダンと同居する。主将はレアル・マドリードのダビド・アラバ、歴代最多得点記録を持つマルコ・アルナウトヴィッチが副将を務め、ブンデスリーガを中心に欧州トップクラブで活躍する選手を多数擁する。初戦のヨルダン戦(6月17日)では3-1で勝利し、36年ぶりのワールドカップ白星を挙げた。

欧州予選の経緯

FIFA ワールドカップ 2026 オーストリアサッカー代表は、UEFA欧州予選グループHに属し、ルーマニア・ボスニア・ヘルツェゴビナ・キプロス・サンマリノと同組で戦った。2025年6月のルーマニア戦(2-1)やサンマリノ戦(4-0)、9月のキプロス戦(1-0)・ボスニア・ヘルツェゴビナ戦(2-1)と白星を積み重ね、クライマックスとなった最終戦ではボスニア・ヘルツェゴビナと1-1で引き分けてグループ首位を確定させた。予選通算成績は6勝1分1敗、22得点4失点のバランスの取れた内容であった。なおグループ2位のボスニア・ヘルツェゴビナは欧州プレーオフを経て本大会への出場権を獲得しており、オーストリアは自動出場の12カ国のひとつに名を連ねた。UEFA EURO 2024ではフランス・オランダを抑えてグループを首位通過するなど、ラングニック体制下でのチームの成熟度は着実に高まっている。

監督:ラルフ・ラングニック

ラルフ・ラングニック(1967年生まれ)は、ドイツ出身の指揮官でありながらオーストリア代表を率いる。シュトゥットガルト・ハノーファー・シャルケ・ホッフェンハイムなどブンデスリーガでのキャリアに加え、レッドブル・グループのサッカー部門ディレクターとして現在のチームに多数の選手を輩出した組織的なゲーゲンプレス(ハイプレス)戦術の理論的父とも称される。2021-22シーズンにはマンチェスター・ユナイテッドの暫定監督を務め、2022年6月にフランコ・フォダの後任としてオーストリア代表の指揮官に就任。以来、2大会連続の主要大会(EURO 2024・ワールドカップ2026)出場を成し遂げており、これはオーストリアの指揮官として前例のない快挙である。基本システムは4-2-3-1を採用し、前線から激しくボールを奪いに行く「走るサッカー」を信条とする。

主要選手

主将のダビド・アラバ(レアル・マドリード)は111キャップを誇るオーストリア代表の象徴的存在で、長期の膝のケガからの復帰を果たして本大会の守備の要として名を連ねる。左センターバックの位置からゲームを制御する冷静さは、ラングニックのハイラインを機能させる上で不可欠である。副将のマルコ・アルナウトヴィッチ(レッドスター・ベオグラード)は37歳にして代表最多の132キャップ・47得点を誇り、欧州予選でも8得点を挙げるなどエースの座を維持している。今大会が事実上の現役最後の舞台となる可能性が高く、感情的な側面でもチームを鼓舞する存在だ。中盤ではマルセル・ザビッツァー(ボルシア・ドルトムント)がボックス・トゥ・ボックスの活動量とシュートセンスで攻撃をけん引し、バイエルン・ミュニック所属のコンラッド・ライマーがラングニックのプレスを体現する運動エンジンとして機能する。また、元イングランドU代表のカーニー・チュクウエメカとドイツU代表出身のポール・ワナーが帰化選手として若い才能を加えた点も今大会の注目ポイントである。

グループJ:死の組での挑戦

2025年12月に実施された組み合わせ抽選の結果、オーストリアはグループJに入り、ディフェンディングチャンピオンのアルゼンチン・アルジェリア・ヨルダンと同居する。データ会社Optaの強度評価でグループJ(平均77.1)は全12グループ中最高水準と判定され、「死の組」の筆頭として注目を集めた。グループステージの日程は、6月17日にヨルダン戦(サンフランシスコ)、6月22日にアルゼンチン戦(ダラス)、6月27日にアルジェリア戦(カンザスシティ)という順序で組まれている。グループ上位2カ国、および12グループの3位成績上位8カ国がラウンド32へと進出する。

第1戦:ヨルダン戦 3-1 勝利

6月17日(日本時間)、サンフランシスコ湾岸のリーバイス・スタジアムで行われたヨルダン戦で、オーストリアは3-1の勝利を収め36年ぶりのワールドカップ白星を挙げた。前半20分、ロマノ・シュミットが右足でカーブをかけたミドルシュートを決めて先制。しかし後半50分にヨルダンのアリ・オルワンに同点ゴールを許した。その後、76分に相手DFのオウンゴールで勝ち越すと、試合終盤のVARによるハンドボール判定でアルナウトヴィッチがPKを沈め、試合を締めた。アルナウトヴィッチはこの一打でオーストリア史上最年長のワールドカップ得点者となる記録も打ち立てた。

オーストリアとワールドカップの歴史

オーストリアのワールドカップ参加は通算8回目で、過去最高成績は1954年スイス大会の3位である。同大会では準々決勝でスイスを7-5という点の取り合いで下し、準決勝こそ西ドイツに1-6で大敗したものの、3位決定戦でウルグアイを3-1で破ってブロンズメダルを獲得した。1978年アルゼンチン大会では「コルドバの奇跡」と称される西ドイツへの3-2逆転勝利を演じ、国民的な歴史的一戦として今も語り継がれている。1982年スペイン大会では「ヒホンの恥辱」として知られる西ドイツとの試合が八百長疑惑を呼んだ。その後、1998年フランス大会を最後に28年間ワールドカップから遠ざかっていたが、ラングニック体制によってその空白を埋めた。今大会のFIFAランキングは24位でアジアやアフリカ中堅国と競合する位置づけにあるが、欧州で実証されたプレス戦術は本大会でも十分に通用すると見られている。

登録メンバー

2026年5月18日、ラングニック監督は本大会に臨む26名のメンバーを発表した。GKはアレクサンダー・シュラーガー(レッドブル・ザルツブルク)、フロリアン・ヴィーゲレ(ヴィクトリア・プルゼニュ)、パトリック・ペンツ(ブレンビー)の3名。DFはダビド・アラバ(レアル・マドリード、主将)をはじめ、ケビン・ダンソ(トッテナム・ホットスパー)、シュテファン・ポッシュ(マインツ)ら9名。MFはマルセル・ザビッツァー(ボルシア・ドルトムント)、コンラッド・ライマー(バイエルン・ミュニック)、ニコラス・ザイヴァルト(RBライプツィヒ)らが中心で、帰化組のカーニー・チュクウエメカ・ポール・ワナーも名を連ねた。FWはマルコ・アルナウトヴィッチ(レッドスター・ベオグラード、副将)、ミヒャエル・グレゴリッチュ(アウクスブルク)、サシャ・カライジッチ(ウォルブス所属でLASKへのローン)の3名。なお、本来トップ下の主力であったクリストフ・バウムガルトナーが負傷欠場となり、デヤン・リュビチッチが追加招集された。26名中14名がドイツのクラブに所属しており、ラングニックのブンデスリーガ人脈が色濃く反映されている。

  • GK:アレクサンダー・シュラーガー(レッドブル・ザルツブルク)、フロリアン・ヴィーゲレ(ヴィクトリア・プルゼニュ)、パトリック・ペンツ(ブレンビー)
  • DF:ダビド・アラバ(レアル・マドリード)、ケビン・ダンソ(トッテナム)、シュテファン・ポッシュ(マインツ)、フィリップ・リーンハルト(フライブルク)、フィリップ・ムヴェネ(マインツ)、アレクサンダー・プラス(ホッフェンハイム)、マルコ・フリードル(ヴェルダー・ブレーメン)、ミヒャエル・スヴォボダ(ヴェネツィア)、ダビド・アッフェングルーバー(エルチェ)
  • MF:マルセル・ザビッツァー(ドルトムント)、コンラッド・ライマー(バイエルン)、ニコラス・ザイヴァルト(RBライプツィヒ)、クサヴァー・シュラーガー(RBライプツィヒ)、ロマノ・シュミット(ヴェルダー・ブレーメン)、フロリアン・グリリッチュ(ブラガ)、カーニー・チュクウエメカ(ドルトムント)、パトリック・ヴィマー(ヴォルフスブルク)、ポール・ワナー(PSVアイントホーフェン)、デヤン・リュビチッチ(シャルケ04)、アレッサンドロ・シェップフ(ヴォルフスベルク)
  • FW:マルコ・アルナウトヴィッチ(レッドスター・ベオグラード)、ミヒャエル・グレゴリッチュ(アウクスブルク)、サシャ・カライジッチ(LASK)

戦術:ゲーゲンプレスの体現

ラングニックのFIFA ワールドカップ 2026 オーストリアサッカー代表は、相手ボール保有時に即座に奪い返す「ゲーゲンプレス」を軸とした4-2-3-1システムを採用する。守備時はコンパクトな4-2ブロックを形成し、ボール喪失の瞬間に複数選手が連動して高い位置から圧力をかける。EURO 2024以降の公式戦データでは、相手のパス成功率を73.8%に抑えており、これは今大会出場全48カ国の中で最低水準(最も相手を苦しめる)にあたる。コンラッド・ライマーとニコラス・ザイヴァルトがダブルボランチを組んでプレスのスイッチ役を担い、マルセル・ザビッツァーがその前方で創造性を発揮する構図だ。ケビン・ダンソとダビド・アラバのセンターバックコンビは高いラインを維持しながらも空中戦に強く、ハイプレスによって生まれるスペースをカバーする能力が求められる。

グループ突破の展望

FIFAランキング24位のオーストリアはグループJでは格下にあたる存在だが、第1戦でヨルダンから3ポイントを奪取し、まずまずのスタートを切った。次戦はメッシを擁するアルゼンチンとダラスで対戦するが、初戦で発揮した組織的なプレスを一段と高めなければ、アルゼンチンの攻撃陣を封じることは難しいと見られている。オーストリアとアルゼンチンの対戦は公式戦では今回が史上初であり、過去3試合はいずれも親善試合で最後は1990年に1-1で引き分けている。第3戦のアルジェリア戦では1982年ワールドカップでの対戦(オーストリアが2-0で勝利)以来の直接対決となる。グループ2位以内に入れればラウンド32へ進出でき、3位でも他グループとの成績比較によって突破の可能性が残る。オーストリアにとって28年ぶりの本大会で、まずは決勝トーナメント進出が最初の目標となる。

28年ぶりの舞台

オーストリアが最後にワールドカップに出場したのは1998年フランス大会で、グループステージでカメルーン・イタリア・チリと対戦し1分2敗でグループ最下位に終わった。それ以来、2002年・2006年・2010年・2014年・2018年・2022年と6大会連続で予選敗退が続き、かつての「ヴンダーチーム(奇跡のチーム)」の再来を待ち望むファンの期待に応えられずにいた。ラングニック就任後の急成長はオーストリア国内でも熱狂的に受け入れられており、EURO 2024でフランスとオランダをグループで下した際の「信じられない」という指揮官のコメントが象徴するように、選手とファンが一体となってこの長い空白を埋めようとしている。今大会はその集大成であり、37歳のアルナウトヴィッチが「生涯最後のワールドカップ」として全力を尽くす舞台でもある。FIFA ワールドカップ 2026の北中米という舞台で、「ダス・チーム(Das Team)」がどこまで躍進できるかに、ヨーロッパ中の注目が集まっている。

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